【ブログ】相続放棄の注意点

最近、相続放棄のご相談が増加傾向にあります。

相続放棄とは預貯金などのプラスの遺産だけではなく、借金などのマイナスの遺産も全て要りませんと家庭裁判所に申述書や戸籍等を提出して行います。

借金等のマイナスの財産が、預貯金等のプラスの財産を明らかに上回る場合には相続放棄を利用することが多いです。

原則として相続の開始を知った時から3ヶ月以内に行う必要がありますので注意が必要です。
※3カ月経過している場合でも条件等により相続放棄できる場合がございますので、諦めずに専門家へご相談ください。

相続放棄をする上で注意しなければいけないことがあります。

そのひとつは遺産を処分してはいけないということです。(他にも期限内に提出すること等もあります。)
「処分」とは売却するだけではなく、名義変更したり、壊したり、捨てたりするような行為も含まれます。
相続人のみが出来るような行為や振舞いをしたときにその相手方を保護するためにこのような規定になっています。

処分行為をしてしまうと相続したという意思表示になり、相続放棄することができなくなる可能性があります。
この処分行為に該当するかどうかは契約関係等を調査しなければ分からないことが多いので、注意が必要です。
以下、代表的な事例を載せてみましたが、同じ行為でも状況等によりOKなものもあればNGなものもありますので、慎重に調査検討しなければ、相続放棄が出来なくなる可能性もありますし、損害賠償責任を負う可能性もあります。

亡くなられた方が契約していた賃貸借契約の解除等、意見が分かれているものもあり、相続放棄の手続きは専門家に相談されることをおすすめいたします。

【処分にあたらない(相続放棄できる)】
(1)生命保険契約上、相続人が受取人として指定されている場合の生命保険金を請求受領する行為
※全ての保険が受け取れるわけではなく、契約関係を確認する必要があります。
※医療保険等は保険契約の受取人が亡くなられた方に指定されている場合があります。その場合は相続財産に該当するため、請求受領すると相続放棄できなくなります。

(2)社会的に不相当に高額でない限り、葬儀費用を遺産から支出する行為(大阪高決平成14・7・3家月55・1・82)
※「不相当に高額」は抽象的なので、一番安い葬儀社を探し、その中で一番安いプランを利用する等の工夫が必要だと思われます。

(3)亡くなられた方の形見を相続する。(東京高決昭37・7・19)
※裁判例は着古した衣類であり、形見であろうと経済的価値があり、高額なものであれば、注意が必要です。

【処分にあたる(相続放棄できない)】
(1)相続人が亡くなられた方が有していた債権を取り立てて、収受領得した行為(最判昭37.6.21家月14・10・100)

(2)遺産の株式に基づく株主権の行使

(3)遺産の賃貸不動産の賃料振込口座の変更(東京地裁平10.4.24判タ987・233)

(4)遺産に関する訴訟を提起追行すること(東京高判平元.3.27高民42・1・74)

(5)遺産分割協議
※遺産分割協議が要素の錯誤より無効になる場合は遺産分割協議後の相続放棄が受理される可能性もあります(大阪高決平10・2・9家月50・6・89)

相続放棄でお困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。

司法書士 軍司嘉清